株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス弊社で実施しているmRNA発現測定

弊社で実施しているmRNA発現測定

雑誌名:Bioscience of Microbiota, Food and Health
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2018年
原題:Stimulation of murine cell-mediated immunity by dietary administration of a cell preparation of Enterococcus faecalis strain KH-2 and its possible activity against tumour development in mice.
研究機関: 株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・塚原,第二著者・中村),有限会社バイオ研,NPO法人日本サプリメント臨床研究会,株式会社ブロマ研究所
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,飼育観察,剖検,ナチュラルキラー活性及び細胞障害活性測定(フローサイトメトリー),RNA抽出,脾臓細胞中のNK活性関連因子mRNA発現解析(real-time PCR),脾臓細胞中の活性型T細胞割合測定(フローサイトメトリー),結果考察,論文執筆

栄養・病理学研究所で採用しております,動物組織中のmRNA発現測定法について,既報を元にご紹介申し上げます。

内容解説:組織中のmRNA発現解析は,被験物質給与後の生体応答を確認する意味でも重要です。例えば,今回例示いたしました論文でも,Enterococcus faecalis KH2株の経口給与によって脾細胞中のナチュラルキラー (NK) 活性を検討するために関連遺伝子(パーフォリン1, グランザイムA,グランザイムBなど)のmRNA発現を解析しております。今回の論文では,このNK活性化をメカニズムとして,がん細胞増殖抑制を説明しております。
以下に弊社で採用しております方法を記載いたします。

①採材時に動物組織をRNA-laterに浸漬し,解析時まで-80℃で凍結保存する。
②解凍後,滅菌PBSで組織を洗浄する。
③組織を15 mg精密に秤量し,ジルコニアボール入りねじ口チューブへいれる。
QuickGene RNA tissue kit (クラボウ) 及びQuickGene 810 systemを用い,RNAを抽出する。方法はキット添付の取扱説明書に準拠する。
⑤RNA抽出液から市販逆転写酵素を用いて逆転写を行う。方法は取扱説明書を参照する(弊社ではタカラバイオ製のPrimeScriptもしくはTOYOBO製のReverTra Aceを用いております)。
Roche社HPにあるUniversal ProbeLibrary Assay Design Centerから,目的とする遺伝子のTaqMan Probe及びプライマー配列を決定する。
⑦Rotor-Gene Q (キアゲン)を用いてリアルタイムPCRを行う。
⑧対象とするmRNAのCt値をハウスキーピング遺伝子のmRNA発現で補正し,ΔΔCt値として結果を表す。
 以上のように弊社では,Roche社製のUniversal ProbeLibraryを採用することで,比較的安価にTaqManリアルタイムPCRが実施できるようにしております。機能性食品の生体応答を評価する場合,重要なツールとなってきます。