株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「Corynebacterium glutamicumの殺菌菌体による免疫亢進が,腸管出血性大腸菌感染によるマウス斃死を改善する」

「Corynebacterium glutamicumの殺菌菌体による免疫亢進が,腸管出血性大腸菌感染によるマウス斃死を改善する」

雑誌名:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2017年
原題:Heat-killed cell preparation of Corynebacterium glutamicum stimulates the immune activity and improves survival of mice against enterohemorrhagic Escherichia coli.
研究機関: 味の素株式会社,株式会社栄養・病理学研究所(第二著者・塚原)
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,細胞培養,飼育管理,総IgA濃度測定(ELISA),IL-12 p70濃度測定(ELISA),結果考察,論文執筆

2017年5月にBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載されました「Corynebacterium glutamicumの殺菌菌体による免疫亢進が,腸管出血性大腸菌感染によるマウス斃死を改善する」について解説いたします。なお,本研究は味の素株式会社様からの委託研究の成果になります。

内容解説:味の素株式会社様で,グルタミン酸製造時の副産物である「Corynebacterium glutamicum」菌体の利活用の可能性について検討しております。コリネバクテリウム属はグラム陽性菌であるため,免疫活性効果について重点的に検討を行いました。
まず,培養細胞を用いたスクリーニングから実施しております。具体的には,マウスパイエル板から初代培養細胞を採取し,C. glutamicum菌体のIgA生産の増強を確認いたしました。さらに,マウス腹腔マクロファージを用いて,C. glutamicum菌体のマクロファージ活性化をIL-12p70産生を測定することで検討をし,IL-12p70生産増強も確認できました。
その後,実際にマウスへ経口給与して,腸管内容物中の総IgA濃度に変化があるかについて検討を行った結果,マウスモデルでも総IgA濃度がC. glutamicum菌体給与で高値化することを確認いたしました。
最後に,マウスへのブタ由来腸管出血性大腸菌の感染実験を行い,C. glutamicum菌体給与による感染予防傾向を確認いたしました。この後,実際にブタを用いて,実験感染試験も行っておりますが,それは後日論文化する予定にしております。
以上のように,本研究はある素材の有効性評価をin vitroスクリーニングからご依頼いただき,段階を踏んでin vivo有効性評価まで実施した例になります。このような段階を踏んだ委託研究についても,是非弊社担当にご相談頂ければ幸いです