株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「Enterococcus faecalis EC-12株経口投与後の,ラットパイエル板の即時免疫応答」

「Enterococcus faecalis EC-12株経口投与後の,ラットパイエル板の即時免疫応答」

雑誌名:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2013年
原題:Rapid induction of an immune response in rat Peyer’s patch after oral administration of Enterococcus faecalis strain EC-12.
研究機関:株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・井上,第二著者・塚原,第三著者・松川),京都府立大学生命環境学部,コンビ株式会社ファンクショナルフーズ事業部
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,動物飼育,経口投与,剖検,パイエル板のmRNA発現(IL-1β,IL-12p40,TNF-α,CD86,CD69),病理組織学的検査(パイエル板への乳酸菌取り込み),結果考察,論文執筆

2013年4月にBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載されました「Enterococcus faecalis EC-12株経口投与後の,ラットパイエル板の即時免疫応答」について解説いたします。

内容解説:機能性食品として市販されている乳酸菌の中で,期待される機能の一つとして腸管免疫の調節があります。一方で,乳酸菌投与後の腸管免疫応答の継時的な変化について,検討されている事例はほとんどありません(2013年当時)。本研究では,以前にも腸管の免疫調節を行うことをご紹介した乳酸菌の一つであるEnterococcus faecalis EC-12株を用いて,単回強制経口投与後のパイエル板応答の継時的変化をmRNA発現で解析しました。投与後の剖検時間を,2.5時間後,6時間後,24時間後に設定し,mRNA発現の変動について検討を行いました。その結果,投与後2.5時間で剖検したラットは,EC-12投与によってTNF-α及びCD69発現が亢進していましたが,6時間後ではIL-1βのみの亢進となりました。その後,投与後24時間ではどのmRNA発現も有意差は認められなくなりました。このことから,乳酸菌投与後の時間経過でパイエル板でのmRNA発現は変遷することがわかります。このことから,乳酸菌投与後から剖検するまでの時間を慎重に吟味しなければ,結果が出てこない可能性があることがわかります。
また,別にFITC標識したEC-12を強制経口投与し,投与後2.5時間で剖検してパイエル板を回収して,病理組織学的にFITC蛍光を確認したところ,パイエル板内へのEC-12株取り込みが認められていたことから,投与後2.5時間でも投与したEC-12株が腸管免疫を調節していることが判りました。
以上のように,乳酸菌の機能性評価は,上記のように様々なノウハウが存在します。長年機能性評価を実施しております弊社に是非評価のご用命を賜りますようお願い申し上げます

なお,EC-12株については,弊社設立以前から,弊社職員が機能性評価に関わっております。それらを以下に示しますので,是非ご一読頂ければ幸いです。
ブタモデルを用いたEC-12株給与による便秘改善効果
EC-12株給与による便秘改善メカニズム
離乳期仔ブタへのEC-12株給与による下痢発生改善