株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス栄養・病理学研究所で採用しているDNA抽出法

栄養・病理学研究所で採用しているDNA抽出法

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2018年
原題:Inclusion of Bacillus amyloliquefaciens strain TOA5001 in the diet of broilers suppresses the symptoms of coccidiosis by modulating intestinal microbiota.
研究機関:株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・塚原,第三著者・中山),京都府立大学生命環境学部,東亜薬品工業株式会社
弊社職員の役割:研究統括,臨床観察,剖検,DNA抽出,次世代シーケンサーを用いた菌叢網羅解析,腸内細菌のreal-time PCRを用いた定量解析,腸管及び全臓器の病理組織学的検査,結果考察,論文執筆

栄養・病理学研究所で採用しております,糞便・腸管内容物などからのDNA抽出法についてご紹介申し上げます。

内容解説:だ液・糞便・腸管内容物など,生体が微生物と共生している部位からDNAを抽出し,細菌数解析や菌叢網羅解析などの分析に供しています。
弊社では,抽出効率などを鑑みて,市販キットQuickGene DNA tissue kit S(クラボウ)を用い,さらに核酸自動分離システム(QuickGene-810 system,クラボウ)を併用することで,安定したDNA抽出を実現しております。抽出法を下記に示します。

1.0φジルコニアビーズ及び0.1φガラスビーズを予め入れた滅菌2mL容ねじ口チューブにサンプル25 mgを精秤する。キット添付のバッファー(MDT)を250 µL加え,Micro-Smash MS-100 (TOMY)で3,000 r.p.m.×120 sec×2回の破砕処理を行う。破砕液にキット添付のプロテナーゼKを25 µL加え,よく混合後,55℃のドライバスで2時間静置する。終了後,遠心分離 (15,000×g,10分,室温) を行う。上清200 µLを新しい滅菌1.5 mL容マイクロチューブに採取し,キット添付のライシスバッファー(LDT)を180 µL加え,よく攪拌後,70℃のドライバスに10分静置する。終了後,フラッシングし,99.5%特級エタノールを240 µL加え,よく攪拌する。遠心分離 (8,000×g,1分,室温) 後,上清すべてをQuickGene-810 systemにセットしたキット付属のフィルターへ入れる。自動精製を行う。精製後,キット添付のElution Bufferで溶出させ,DNA抽出液を得る。
本DNA抽出法は,特別にご要望を頂かない限りは弊社デフォルトの方法であり,冒頭に記載している論文の他にも,数々の論文で使用しております。最近掲載された論文を一例として下記に示します。
・ヒト2型糖尿病患者の腸内細菌構成探索 https://doi.org/10.3164/jcbn.17-44
・ブタ浮腫病実験感染系の改良 https://doi.org/10.1111/asj.12769
・ブタ臨床現場での生菌剤給与効果 https://doi.org/10.1111/asj.12565