株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「ブタ末梢血中のCD4+CD8+T細胞の遺伝子発現プロファイル」

「ブタ末梢血中のCD4+CD8+T細胞の遺伝子発現プロファイル」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2018年
原題:Gene expression profiles of CD4/CD8 double-positive T cells in porcine peripheral blood.
研究機関:京都府立大学生命環境学部,株式会社栄養・病理学研究所(第二著者・塚原), 豊橋飼料株式会社テクニカルセンター
弊社職員の役割:採血,結果考察

2018年7月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「ブタ末梢血中のCD4+CD8+T細胞の遺伝子発現プロファイル」について解説いたします。

内容解説:日本のように限られた敷地内で肉豚を飼育すると,疾病に罹患するブタがどうしても現れます。養豚経営において疾病の罹患は,生産効率を下げ,経営を悪化させることから未然に防ぎたいイベントになります。近年,疾病予防としてワクチン接種を選択される養豚経営者が増えてきています。ワクチンは,病原微生物の情報を予めブタの免疫に認識させることで,以降の疾病罹患に備えるものです。ワクチンに含まれる病原微生物は,免疫細胞に異物と認識され,対応として抗体産生などが起こります。その中でも免疫の司令塔として知られているT細胞の病原微生物認識は,ワクチン効果を期待する上でもとくに重要です。本研究では,ブタのT細胞の中でもCD4/CD8両陽性T細胞にスポットを当てて,その重要性について言及をいたしました。
その結果,一般的にはヘルパーT細胞として免疫の司令塔と考えられているCD4単独陽性T細胞や細胞障害性T細胞として知られているCD8単独陽性細胞と,CD4/CD8両陽性T細胞は異なる遺伝子発現を示しており,ブタではCD4/CD8両陽性T細胞がよりエフェクターメモリーT細胞として機能している可能性が示唆されました。また,本結果はマウスやヒトでの報告と異なることから,ブタ特有の免疫機能であると考えています。
弊社では,2018年5月に掲載された論文「抗ブタCD69モノクローナル抗体の作製と,フローサイトメーターを用いた早期の細胞性免疫活性化評価への有用性」にも示しておりますとおり,細胞性免疫からのアプローチでワクチン有効性を判断できるように基礎検討を続けております。もしブタワクチンの細胞性免疫に関する研究をご検討されている方は,是非弊社にご相談頂ければ幸甚と存じます