株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「ブタ初乳の組成と生理学的な機能」

「ブタ初乳の組成と生理学的な機能」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:依頼総説
掲載年:2021年
原題:Composition and physiological functions of the porcine colostrum.
研究機関:摂南大学農学部, 株式会社栄養・病理学研究所(最終著者・塚原)
弊社職員の役割:総説監修

2020年11月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「ブタ初乳の組成と生理学的な機能」について解説いたします。

内容解説:ブタは胎盤経由では免疫は移行しないため,初乳からの移行免疫がとくに重要です。古くから初乳中には抗体(IgGなど)が大量に含まれていることが知られていました。近年の解析技術の向上に伴い,さらに多くの生理機能を有する物質や細胞が初乳中に含まれ,仔へと移行していることがわかってきました。本総説では,これまでの我々の研究を含め,現状でわかっている初乳の生理機能について解説をしております。
初乳は母豚が分泌する生後から24時間までの,高タンパク質・低糖・低脂肪の乳を指します。タンパク質はそのほとんどがカゼインと乳清にあり,乳清の80%以上が抗体であるイムノグロブリンです。これらのイムノグロブリンやアズロシジンのような生理活性物質が産まれたばかりの仔の疾病罹患を予防しています。さらには,初乳中にはリンパ球やエキソソームなどが少量ながらも含まれており,これらも仔の健全な発達に重要な役割を担っています。とくに我々は初乳中に含まれるリンパ球や未だ同定されていない生理活性物質について,網羅的な解析を駆使しながら研究を進めております。今後とも続報がまとまり次第,トピックスにて公表していきたいと思います。