株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス栄養・病理学研究所で採用している有機酸濃度分析法

栄養・病理学研究所で採用している有機酸濃度分析法

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2014年
原題:High-sensitivity detection of short-chain fatty acids in porcine ileal, cecal, portal and abdominal blood by gas chromatography-mass spectrometry
研究機関:京都府立大学生命環境学部,株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・塚原,第二著者・松川),京都大学農学部,日本大学歯学部
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,採材,有機酸(コハク酸,乳酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,イソ酪酸,n酪酸,イソ吉草酸,n吉草酸)濃度測定,微量短鎖脂肪酸(酢酸,プロピオン酸,n酪酸)濃度測定,結果考察,論文執筆

弊社で採用しております有機酸濃度測定法「イオン排除高速液体クロマトグラフィーを用いた有機酸濃度分析」について,前処理法及び分析条件もあわせて解説いたします。

内容解説:最近,糞便もしくは腸管内容物中の短鎖脂肪酸濃度測定についてお問い合わせ頂くケースが多くなっております。短鎖脂肪酸は腸管における微生物発酵の最終産物であり,我々へのエネルギー源だけでなく,様々な生理活性を誘導することが報告されています。
ガスクロマトグラフィーでも短鎖脂肪酸の分析は可能なのですが,弊社ではより深く腸内環境を探索する意味でも,発酵中間産物であるコハク酸,乳酸,ギ酸が同時に分析できる,イオン排除高速液体クロマトグラフィーを用いた分析を行っております。現在,弊社にて実施しております前処理法,分析法の概要を以下に示します。これらの方法は既に冒頭の論文に掲載済みですので,ご安心の上弊社分析システムをご利用頂ければ幸いです。ご利用に関しましては,お気軽に弊社担当までご相談頂ければ幸いです。
なお,短鎖脂肪酸は揮発性であるため,取り扱いには注意が必要です。弊社分析をご利用のお客様におかれましては,前処理法などについて一度弊社までご相談頂ければ幸いです。

1. 前処理法
検体0.3 gを分取し,0.6 mLの蒸留水で懸濁する。懸濁液に12%過塩素酸0.09 mLを加えてよく懸濁し,氷上で10分間静置する。遠心分離(15,000×g, 10min, 4℃)を行い,タンパク質を沈澱させた後,上清を0.45μmのコスモナイスフィルター W(水系:ナカライテスク)で濾過し,減圧下で抜気する。そのサンプルの5μLを分析に供する。

2. イオン排除高速液体クロマトグラフィー
移動相はHPLC用蒸留水(和光純薬)にパラ-トルエンスルホン酸を5 mMになるように加え,0.45μmのメンブレンフィルター(Cellulose Acetate:東洋濾紙)で濾過して用いる。ポストカラム反応相はHPLC用蒸留水(和光純薬)にそれぞれ5 mM パラ-トルエンスルホン酸,20 mM Bis-Tris,100μM EDTA(free acid)になるように加えたものを用いる。それぞれ0.8 mL/minの流速で供給する(LC-10ADvp;島津製作所)。カラムはShimpack SCR-102H(島津製作所)を2本直列させ,カラム温度は45℃に設定する。電気伝導度計の検出条件はベース電圧2000mV,感度0.01とする。