株式会社 栄養・病理学研究所

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トップトピックス「2種の単胃草食ほ乳類と5種の雑食ほ乳類の糞便腸内細菌叢の比較」

「2種の単胃草食ほ乳類と5種の雑食ほ乳類の糞便腸内細菌叢の比較」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文
掲載年:2020年
原題:Comparison of the fecal microbiota of two monogastric herbivorous and five omnivorous mammals
研究機関: 京都府立大学生命環境学部,東京農工大学農学部,静岡大学農学部,北海道大学農学部,理化学研究所脳神経科学研究センター,JRA,沖縄こどもの国,株式会社栄養・病理学研究所(第九著者・塚原)
弊社職員の役割:結果考察

2020年4月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「2種の単胃草食ほ乳類と5種の雑食ほ乳類の糞便腸内細菌叢の比較」について解説いたします。

内容解説:単胃の草食動物としてゾウ及びウマ,単胃の雑食動物としてヒト,マーモセット,マウス,ブタ及びラットの計7種の腸内細菌叢の違いを,16SrRNAをターゲットとした菌叢網羅解析で比較いたしました。
草食動物は雑食動物よりも腸内細菌が多様(α多様性が高値)でした。草食動物とブタは菌叢が近似しており,他の動物種はそれぞれ種ごとに独立していました。酪酸生成菌や乳酸生成菌は動物種で異なっていました。例えば酪酸生成菌であるフェーカリバクテリウム属菌はヒトでは8%強存在していたのに対し,他の動物では1%未満でした。さらに,ビフィズス菌はヒトやマーモセットでは最優勢の乳酸生成菌でしたが,他の雑食動物ではほとんど検出されませんでした。草食動物では乳酸生成菌は雑食動物よりも菌占有率が低い傾向にありました。
一方で,草食動物とブタはセルロース分解菌であるFibrobacter属菌を保有していることが特徴的でした。
以上の結果から,草食動物は比較的腸内細菌叢が近似していましたが,雑食動物はそれぞれが固有の菌叢を保有することがわかりました。