雑誌名：Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
ジャンル：原著論文（査読あり）
掲載年：2019年
原題：Dietary supplementation with partially hydrolyzed guar gum helps improve constipation and gut dysbiosis symptoms and behavioral irritability in children with autism spectrum disorder.
研究機関： 京都府立大学生命環境学部，滋賀医科大学小児科学，太陽化学株式会社，済生会守山市民病院，株式会社栄養・病理学研究所（第十著者・塚原），京都府立医科大学消化器内科学
弊社職員の役割：研究企画，結果考察

内容解説：自閉症スペクトラム罹患児は便秘症状を呈している場合が多く，かけられる対策も多くありません。水溶性食物繊維であるグアガム加水分解物はほぼ無味無臭であるため，嗜好性に左右されず，さらに米飯などに添加して給与することが可能です。本研究では，自閉症スペクトラム罹患児へグアガム加水分解物を給与する前後で，腸内細菌構成がどの様に変化し，便秘症状などが改善できるかを検討いたしました。
その結果，1週間での排便回数が，グアガム加水分解物給与前は平均1.3回であったのに対し，摂取後は2.8回となり，顕著な便秘改善が認められました。異常行動チェックリスト・興奮性サブスケール（ABC irritability subscale）も15.1から11.8まで改善が認められました。この時，糞便中の細菌構成が顕著に変化しており，多様性及び均等度を示すChao1及びShannon指数もグアガム加水分解物摂取によって有意に減少しておりました。また，血中の炎症性サイトカイン濃度（IL-1beta，IL-6，TNF-alpha）が顕著に低下しており，慢性的な炎症状態の改善効果が窺える結果となりました。
本研究では，腸内細菌を水溶性食物繊維であるグアガム加水分解物で修飾することで，便秘症状を改善し，また自閉症スペクトラムの一部の症状も改善できる可能性が示唆されました。
なお本研究は日経BPでも取り上げられており，本研究が注目されていることが窺えます。