株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「食物アレルギー児の腸内細菌異常に関する予備検討」

「食物アレルギー児の腸内細菌異常に関する予備検討」

雑誌名:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2017年
原題:A preliminary study of gut dysbiosis in children with food allergy.
研究機関:京都府立大学生命環境学部,滋賀医科大学小児科,株式会社栄養・病理学研究所(最終著者・塚原),武庫川女子大学情報メディア学科,済生会守山市民病院
弊社職員の役割:研究企画,結果検討

2017年12月にBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載されました「食物アレルギー児の腸内細菌異常に関する予備検討」について解説いたします。

内容解説:牛乳や卵などに含まれる成分を経口で摂取することによって,食物アレルギーを発症するケースがあります。アレルギー症状は全身へも波及いたしますが,まずは消化管がアレルギー成分を感作によって引き起こされるため,消化管環境も発症の有無に影響を及ぼしているかもしれません。
 本研究では,健常児と食物アレルギー児の腸内細菌構成を,次世代シーケンサーを用いて解析し,特徴的な腸内細菌が検出されるか調査いたしました。
 その結果,腸内細菌の構成は健常児と食物アレルギー児で明確に異なっており,とくにアッカーマンシア属菌の占有率がアレルギー児糞便で低値化し,ベロネラ属菌の占有率がアレルギー児糞便で高値化しました。アッカーマンシア属菌は抗炎症作用に関係するという報告があり,またベロネラ属菌はクローン病患者で高値化するという報告があることから,少なくともこれらの細菌の変動は,食物アレルギーを悪化させる可能性があることが示唆されました。
 本研究で実施しております次世代シーケンサーを用いた菌叢網羅解析の受託解析も承っております。研究機関が実施する菌叢網羅解析についてご興味がある方は是非弊社塚原までご相談ください。