株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「自閉症スペクトラムの幼児の腸内微生物叢と末梢単核球の遺伝子発現の関連性に関する予備研究」

「自閉症スペクトラムの幼児の腸内微生物叢と末梢単核球の遺伝子発現の関連性に関する予備研究」

雑誌名:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2016年
原題:A preliminary investigation on the relationship between gut microbiota and gene expressions in peripheral mononuclear cells of infants with autism spectrum disorders.
研究機関:京都府立大学生命環境学部,滋賀医科大学小児科,武庫川女子大学生活環境学部,株式会社栄養・病理学研究所(最終著者・塚原)
弊社職員の役割:研究企画,次世代シーケンスを用いた菌叢網羅解析

2016年にBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載されました「自閉症スペクトラムの幼児の腸内微生物叢と末梢単核球の遺伝子発現の関連性に関する予備研究」について解説いたします。

内容解説:自閉症スペクトラムは,腸内細菌叢の影響を受けるという疫学研究があります。自閉症スペクトラム児に,ある種の抗生物質を投与することで,一時的に自閉症スペクトラムが緩和されるという結果がその論拠になります。この結果を受け,世界中の研究機関が自閉症スペクトラム児と健常児の腸内細菌叢の違いについて報告を行ってきました。本研究では,日本国内で初めて自閉症スペクトラム児と健常児での腸内細菌構成の違いを,次世代シーケンサー解析を用いた菌叢網羅解析で確認し,また血液中の免疫細胞の状態も異なっていることをマイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析で確認し,報告いたしました。
症例数が少ないため,今後の追試が不可欠ではありますが,日本人は西洋人とは異なる腸内細菌(フェーカリバクテリウム属菌,ブラウティア属菌)が自閉症スペクトラム児で変動することが示唆されました。また,これらの変動した腸内細菌は,血中単核球の炎症関連因子(CXCL10, CXCL11など)と高度な相関を示していたことから,腸内細菌が全身性の反応に何らかの関与を示している可能性についても言及しております。
本研究で実施しております次世代シーケンサーを用いた菌叢網羅解析の受託解析も承っております。研究機関が実施する菌叢網羅解析についてご興味がある方は是非弊社塚原までご相談ください