「黒毛和種仔ウシの増体成績,糞及び血液性状に及ぼす液状酒粕の影響」
雑誌名:Animal
ジャンル:原著論文
掲載年:2023年
原題:Effects of liquefied sake lees on growth performance and faecal and blood characteristics in Japanese Black calves
研究機関:京都大学農学部,岡山大学大学院環境生命自然科学研究科,滋賀県畜産技術振興センター,株式会社栄養・病理学研究所(第四著者・塚原),摂南大学農学部
弊社職員の役割:DNA抽出,菌叢網羅解析,結果考察
清酒の副産物である液状酒粕は,サッカロマイセス・セレビシエ(酵母)や,米及び酵母由来のタンパク質,またプレバイオティクスを豊富に含んでいます。先行研究では,サッカロマイセス・セレビシエの発酵産物が,離乳前子牛の健康,成長および糞便性状を改善することが報告されています。本研究では,生後6日から90日齢の黒毛和種仔ウシを対象に,代用乳への液状酒粕添加が成長成績,糞便性状及び血液代謝産物に及ぼす影響を調査しております。生後6日の黒毛和種仔ウシ24頭を,液状酒粕を添加しない区(C区,n=8),代用乳に液状酒粕を1日100g(生重量ベース)混合する区(LS区,n=8)及び同1日200g(生重量ベース)混合する区(HS区、n=8)の3つの処理区に割り当てました。代用乳及びカーフスターターの摂取量,日増体量には処理区間で差は認められませんでした。糞便スコア1(正常便)の日数はLS区がHS区よりも多く,一方で下痢治療薬を投与した日数はLS区およびC区がHS区よりも少なくなりました。糞便中のn-酪酸濃度は,C区と比較してLS区で高くなる傾向が認められました。90日齢におけるα多様性指数(Chao1)は,C及びLS区よりもHS区で高い値を示しましております。主座標分析の結果,90日齢における糞便内細菌叢が処理区間で異なることが示されました。ルーメン(第一胃)発達の指標である血漿中β-ヒドロキシ酪酸濃度は,試験期間を通じてC区よりもLS区で高い値を示しました。これらの結果から,離乳前の黒毛和種仔ウシに対し,液状酒粕を1日100g(生重量ベース)まで添加することはルーメンの発達を促進する可能性があることが示唆されました。