株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「糞便および血漿中の代謝産物と,母豚1頭あたりの産仔年間離乳頭数との関連性」

「糞便および血漿中の代謝産物と,母豚1頭あたりの産仔年間離乳頭数との関連性」

雑誌名:Metabolites
ジャンル:原著論文
掲載年:2025年
原題:Investigation of metabolites in feces and plasma associated with the number of piglets weaned per sow per year
研究機関:株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・塚原,第三著者・川瀬),摂南大学農学部,北海道大学農学部,日清丸紅飼料株式会社,有限会社あかばね動物クリニック,豊橋飼料株式会社
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,短鎖脂肪酸分析,腐敗代謝物分析,TMAO分析,アミノ酸濃度分析,結果考察論文執筆

2025年10月にMetabolites誌に掲載されました「糞便および血漿中の代謝産物と,母豚1頭あたりの産仔年間離乳頭数との関連性」について解説いたします。

母豚の繁殖成績は,養豚場の生産成績にとって重要な指標となっています。腸内細菌叢が母豚の繁殖成績と関連することは既報で報告しました。一方で,腸内細菌叢は腸管内(ブタから見れば体外)に棲息しているため,腸内細菌叢とブタを繋ぐ何らかのシグナルが,生産成績と関与していると考えられます。本研究では,上記シグナルが腸内細菌代謝産物であると考え,母豚の糞便および血漿中の微生物代謝産物レベルと繁殖成績との関係を明らかにしました。
4養豚場を選定し,繁殖成績の高い2養豚場(H群)と繁殖成績の低い2養豚場(L群)に分け,妊娠豚から糞便及び血液を採取しました。糞便は短鎖脂肪酸及び腐敗代謝物濃度を測定しました。血中は短鎖脂肪酸,腐敗産物抱合体,トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO),TNF-alpha,肝機能マーカー,一般生化学検査及びアミノ酸濃度を測定しました。
その結果,イソ酪酸濃度を除いて糞便中短鎖脂肪酸濃度は両群間で変化がありませんでした。腸内腐敗代謝物のうち,インドール濃度はH群で有意に高値を示したが,血漿代謝物であるp-クレシル硫酸,p-クレシルグルクロニド及びTMAO濃度は,H群よりもL群で有意に高値を示しておりました。一方,酢酸濃度はH群よりも有意に低値を示しています。血漿生化学物質の中で,TNF-alpha及びカリウム濃度はL群で有意に高値を示しました。
以上から,血液代謝物,とくに腸内細菌叢由来の代謝物であるp-クレシルグルクロニド,p-クレシル硫酸及びTMAOは,母豚の繁殖成績と関連していると考えられます。これらの有害な腸内細菌代謝物は,炎症因子になるといわれており,実際L群ではTNF-αの発現が亢進していました。これらのことから,腸内細菌叢が生産する腐敗産物が腸管から吸収され,代謝されたp-クレシルグルクロニド,p-クレシル硫酸及びTMAOが慢性炎症源となって母豚生産性に影響を及ぼしていると結論しています。
なお,本研究は京都産業21の補助金を原資として実験をいたしました。