株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「飼料中のワイツマニア・コアグランス株SANK70258は,腸管免疫と腸内細菌叢を調節することによりブロイラーのコクシジウム症の症状を軽減し,腸管バリア機能を改善する」

「飼料中のワイツマニア・コアグランス株SANK70258は,腸管免疫と腸内細菌叢を調節することによりブロイラーのコクシジウム症の症状を軽減し,腸管バリア機能を改善する」

雑誌名:Pathogens
ジャンル:原著論文
掲載年:2023年
原題:Dietary Weizmannia coagulans strain SANK70258 ameliorates coccidial symptoms and improves intestinal barrier functions of broilers by modulating the intestinal immunity and the gut microbiota
研究機関:三菱ケミカル株式会社,株式会社栄養・病理学研究所(第五著者・中村,最終著者・塚原)
弊社職員の役割:研究企画,RNA-seq,mRNA発現解析,病理組織学的検査,菌叢網羅解析,結果考察

2023年1月にPathogens誌に掲載されました「飼料中のワイツマニア・コアグランス株SANK70258は,腸管免疫と腸内細菌叢を調節することによりブロイラーのコクシジウム症の症状を軽減し,腸管バリア機能を改善する」について解説いたします。

本稿は,2023年11月13日付けのトピックスで解説しました「鶏コクシジウム実験感染鶏へのワイツマニア・コアグランスSANK70258株給与は,抗コクシジウム剤と同等の改善効果を示す」の続報となります。既報にて報告いたしました,「ワイツマニア・コアグランスSANK70258株(SANK70258)給与がコクシジウム症の症状を改善する」という現象に対するメカニズムを究明した報告となります。具体的には,コクシジウム感染ブロイラーの小腸組織におけるRNA-seq,消化管消化物における菌叢網羅解析を行っております。その結果,SANK70258給与によって,IL17A,IL17F,IL10,カテリシジン-2,pIgRなど,腸管免疫及びバリア機能に関連する遺伝子発現が亢進していました。また,体重とClaudin-1及びIL10発現に正の相関が認められました。一方,小腸病変スコアとIL17Aの発現は負の相関を示しておりました。菌叢網羅解析の結果,SANK70258給与ブロイラーでは対照群よりもAlistipes属細菌が多く存在し,体重及びClaudin-1発現と正の相関を示していました。また,SANK70258給与ブロイラーではEnterococcus属占有率が高値を示し,IL17A発現と正の相関関係にありました。以上の結果から,SANK70258の給与はコクシジウム罹患ブロイラーの腸内細菌叢の中でもとくにAlistipes属及びEnterococcus属占有率を制御し,小腸組織に免疫刺激を与えることが体重増加及びコクシジウム症改善効果をもたらすと考えられました。