株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「アラビアガムの添加が粗飼料多給条件におけるインビトロルーメン発酵に及ぼす影響」

「アラビアガムの添加が粗飼料多給条件におけるインビトロルーメン発酵に及ぼす影響」

雑誌名:日本畜産学会報
ジャンル:原著論文
掲載年:2022年
原題:同上
研究機関:三重大学大学院生物資源学研究科,株式会社栄養・病理学研究所(第二著者・塚原),ネキシラ株式会社,島貿易株式会社
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,ルーメン液を用いたインビトロ培養,有機酸濃度測定,ルーメン菌叢網羅解析,結果考察

2022年5月に日本畜産学会報誌に掲載されました「アラビアガムの添加が粗飼料多給条件におけるインビトロルーメン発酵に及ぼす影響」について解説いたします。

内容解説:アラビアガム(AG)はウシをはじめ様々な家畜の飼料として市販されていますが,ウシルーメン内における代謝について知見があまりありませんでした。そこで,今回は粗飼料多給条件下でのウシルーメン発酵に及ぼすAG 添加の影響について検討しております。まず,実験1としてヒツジルーメン液を用いてインビトロ培養試験を行いました。その際,AG のみを基質として0, 0.2, 1.0 または2.5% 添加し,培養に供しています。次に実験2として,基質としてAG,アビセル,キシラン又は圧ぺんトウモロコシを添加し,乾乳牛のルーメン液を用いてインビトロ培養を行いました。
その結果,実験1 では,総有機酸量の結果から,用量依存的に発酵がすすんでおりました。添加量増加に伴い,とくにプロピオン酸の産生量が増加しておりました。実験2 では,AG の有機酸産生は他の基質よりも低い傾向にありました。一方で,菌叢解析の結果,AG 区は他の糖質と比較して特徴的な変化は認められませんでした。これらの結果は,ブタ腸内細菌叢によるAG資化と類似しており,ウシもブタと同様に消化管内菌叢によって資化されることが確認できました。