株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「濃厚飼料多給もしくは粗飼料多給条件下での,アラビアガムのインビトロルーメン発酵の特徴」

「濃厚飼料多給もしくは粗飼料多給条件下での,アラビアガムのインビトロルーメン発酵の特徴」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文
掲載年:2021年
原題:In vitro ruminal fermentation characteristics of gum arabic under concentrate and forage substrate conditions
研究機関: 内蒙古大学,京都大学農学部,株式会社栄養・病理学研究所(第三著者・塚原),島貿易株式会社
弊社職員の役割:試験企画,結果考察

2021年10月に,Animal Science Journal誌に掲載されました「濃厚飼料多給もしくは粗飼料多給条件下での,アラビアガムのインビトロルーメン発酵の特徴」をご紹介いたします。

内容解説:水溶性食物繊維であるアラビアガムの,ウシでの利用性を探索するため,濃厚飼料多給ヒツジ又は粗飼料多給ヒツジからルーメン液を採取し,インビトロ培養系を用いて,その発酵特性について検討を行いました。ルーメン液のみを培養する無添加区,アラビアガムを0.2, 1.0, 2.0%添加して培養する区,同じく馬鈴薯デンプンを0.2, 1.0, 2.0%添加して培養する区を設け,各培養区間の消化率,短鎖脂肪酸濃度,ガス発生量などを比較しました。濃厚飼料多給条件下では,アラビアガム給与で馬鈴薯デンプン培養区と比較し,メタンガス発生量が低下していました。また,アラビアガムを1.0もしくは2.0%添加して培養することで,無添加区よりも中性デタージェント繊維の消化率が高値化し,アンモニア濃度が低値化し,短鎖脂肪酸濃度が高値化していました。一方で,粗繊維飼料多給条件下では,濃厚飼料多給条件下ほど顕著な変化は認められませんでした。
以上のことから,アラビアガムはウシルーメンで発酵を受け,短鎖脂肪酸などに変換され,エネルギー源となることが確認できた他,とくに濃厚飼料多給条件下では消化率向上にも寄与する可能性が示されました。