雑誌名：Pathogens
ジャンル：原著論文
掲載年：2021年
原題：Effects of partially hydrolyzed guar gum supplementation on the fecal microbiotas of piglets
研究機関： 摂南大学農学部，株式会社大里畜産，太陽化学株式会社，株式会社栄養・病理学研究所（最終著者・塚原）
弊社職員の役割：研究企画，結果考察

内容解説：養豚場の成績改善は，農家にとって至上命題です。近年，我々の研究グループでは，腸内細菌叢が生産成績と関係し，腸内細菌叢の改善は生産成績改善につながることについて研究を進めております。腸内細菌叢を改善する資材として，プロバイオティクスやプレバイオティクスなどが知られていますが，今回はプレバイオティクスの一つであるグアガム加水分解物を肉豚へ給与したときの，腸内細菌叢改善をとおした生産成績改善効果について検討を行いました。
検討は，一般的な一貫経営農家で行っております。飼養されている離乳期仔豚594頭を用い，293頭は無添加飼料給与群，残余はグアガム加水分解物0.06%添加飼料給与群としました。給与は離乳から出荷まで継続しており，給与開始から1ヶ月及び3ヶ月で各群20頭の糞便を採取して菌叢網羅解析及び短鎖脂肪酸濃度測定に供しました。その結果，グアガム加水分解物給与によって腸内細菌叢は顕著に変化しており，例えばグアガム加水分解物給与によってラクトバチルス属菌やプレボテラ属菌の占有率が高値化し，ストレプトコッカス属菌が低値化しておりました。また，グアガム加水分解物給与によって酢酸，プロピオン酸，酪酸など短鎖脂肪酸濃度が高値化しました。それらの結果，出荷日齢が約10日早くなり（169.6日 vs. 158.6日），また離乳後の死亡率も顕著な改善を見せました（10.3% vs. 5.3%）。以上の結果から，グアガム加水分解物給与によって肉豚の腸内細菌叢が変化し，生産成績が改善することがわかりました。