株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「哺乳期から育成期豚における小腸2糖類分解酵素活性と絨毛高さとの関連」

「哺乳期から育成期豚における小腸2糖類分解酵素活性と絨毛高さとの関連」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2013年
原題:Correlation between villous height and the disaccharidase activity in the small intestine of piglets from nursing to growing
研究機関:株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・塚原,第五著者・中山),京都府立大学生命環境学部,株式会社京都動物検査センター,塩水港精糖株式会社
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,動物飼育,剖検,腸管採材,腸管病理組織標本作製,小腸絨毛高さ測定,結果考察,論文執筆

2013年1月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「哺乳期から育成期豚における小腸2糖類分解酵素活性と絨毛高さとの関連」について解説いたします。

内容解説:新生仔ブタは,3〜4週間の哺乳後,離乳します。離乳後の複合的なストレスによって,小腸絨毛が一時的に短くなることはよく知られており,その後の成長も影響を受けます。離乳後の小腸絨毛高さと消化酵素活性は正の相関を示すことが報告されていることから,絨毛が短くなることで食物の消化が不完全となった結果,仔ブタが発育不全に陥ると考えられます。一方で,離乳期以降の,生育段階毎に絨毛高さと消化酵素活性の相関を検討した事例はこれまでありませんでした。そこで,本研究ではほ乳期から育成期まで,飼料が異なる度に豚を剖検して小腸絨毛高さと消化酵素活性との関連を検討しております。
養豚場からほ乳期(5頭),離乳前期(4頭),離乳後期(4頭)及び育成期(4頭)の仔ブタを購入し,実験に供しました。小腸を摘出し,8等分して胃側を小腸1,盲腸側を小腸8として,各小腸の中央部を常法によりHE染色標本作製後,絨毛高さを測定しております。また,各部位残りの小腸粘膜から粗酵素液を調製し,ラクターゼ,スクラーゼ及びマルターゼ活性を測定いたしました。
その結果,ラクターゼ活性が,離乳期小腸の絨毛高さと正の相関を示しました。一方で,スクラーゼとマルターゼについては,哺乳期から育成期にかけての全ステージで小腸絨毛高さと正の相関を示しました。
最近になって,ブタもしくはニワトリの小腸絨毛高さを測定するため,小腸組織の病理組織標本作製をご依頼いただくケースが多くなっております。また,その後の絨毛高さを顕微鏡下で測定するご依頼も数多く承っております。絨毛は柔らかいですので,それなりのノウハウを持って標本作製を行わなければなりません。標本作製もしくは絨毛高さ測定でお困りの方がおられましたら是非一度弊社にご相談いただければと思います