株式会社 栄養・病理学研究所

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トップトピックス「Enterococcus faecalis EC-12株殺菌体の仔ウシへの給与は腸管内IgA分泌を刺激する」

「Enterococcus faecalis EC-12株殺菌体の仔ウシへの給与は腸管内IgA分泌を刺激する」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2009年
原題:A cell preparation of Enterococcus faecalis strain EC-12 stimulates the luminal immunoglobulin A secretion in juvenile calves
研究機関:京都府立大学生命環境学部,北海道大学創成研究機構,株式会社栄養・病理学研究所(第三著者・塚原),コンビ株式会社
弊社職員の役割:糞便採材,結果考察

2009年2月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「Enterococcus faecalis EC-12株殺菌体の仔ウシへの給与は腸管内IgA分泌を刺激する」について解説いたします。

内容解説:生後ほ乳期間中の仔ウシは免疫系が未熟で,様々な下痢や呼吸器系疾患に感染します。元来,ほ乳期間中は母乳から免疫物質を受け取り,未熟な自己の免疫を補完してきましたが,酪農など産業的に母乳摂取を継続させることは困難です。そこで本研究では,免疫活性効果が他の家畜で認められている乳酸菌体(Enterococcus faecalis EC-12株)を用いて,仔ウシに対する免疫活性化を検討いたしました。
1週齢の仔ウシ29頭を実験に供試いたしました。14頭の仔ウシをEC-12給与群として0.2 % (w/w)のEC-12菌体を混合した代用乳を,残りの15頭を無給与対照群として49日間継続して給与を行いました。糞便および血清を試験開始後0,7及び49日に採取し,免疫活性化の指標として総IgAおよび総IgG濃度を測定しました。
その結果,EC-12の給与によって糞便中総IgA濃度(給与開始後49日)及び血清中IgA濃度(給与開始後7日)にそれぞれ無給与群より高い傾向が認められました。これらの結果から,EC-12の経口投与は仔ウシの腸管粘膜免疫系を刺激し,腸管管腔内のIgA濃度を上昇させることが示唆されました。