雑誌名：The Journal of Veterinary Medical Science
ジャンル：原著論文（査読あり）
掲載年：2010年
原題：Alpha-linked galactooligosaccharide suppresses small intestinal eosinophil infiltration and improves growth performance in weaning pigs
研究機関： 京都府立大学生命環境学部，株式会社栄養・病理学研究所（筆頭著者・塚原，第四著者・中山），株式会社Jオイルミルズ，塩水港精糖株式会社
弊社職員の役割：研究統括，研究企画，剖検，腸管採材，病理組織学的検査，mRNA発現解析，TGGEを用いた菌叢解析，腸管内容物の総IgA濃度測定，短鎖脂肪酸濃度測定，結果考察，論文執筆

内容解説：健康であっても，ブタは小腸粘膜内に多くの好酸球が浸潤していることが知られています。好酸球は，アレルギー状態の粘膜に多く浸潤することが知られており，またベロ毒素産生大腸菌の感染症であるブタ浮腫病罹患時の小腸粘膜でも浸潤数が増加することから，好酸球浸潤の抑制は養豚生産向上に寄与する可能性があります。
アルファガラクトオリゴ糖（alpha-GOS）はアレルギー性気管支炎モデルの肺胞洗浄液中好酸球浸潤を抑制することが知られており，上記ブタ小腸における好酸球浸潤も抑制できる可能性があります。本研究では，離乳期子豚にアルファガラクトオリゴ糖を給与することで，小腸粘膜中の好酸球浸潤を抑制できるかを検討いたしました。
9頭の21日齢離乳期子豚を導入後，3群（対照群，alpha-GOS 1.17%添加群，alpha-GOS 0.03%添加群）に群れ分けいたしました。10日間の給与後，好酸球浸潤を病理組織学的に検査したところ，alpha-GOS給与による浸潤数の有意な低値化が認められました。一方で，alpha-GOS給与で，小腸および大腸内容物中の菌叢および短鎖脂肪酸濃度に変化は認められませんでした。
以上のことから，alpha-GOSは腸内細菌の発酵を受けて間接的に生体へ影響を及ぼしているというよりは，小腸へ直接的に作用して，好酸球浸潤を抑制している可能性が考えられました。