株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「志賀毒素2eBトランスジェニックレタスワクチンは志賀毒素産生性大腸菌感染による浮腫病から離乳子豚を保護するのに有効である」

「志賀毒素2eBトランスジェニックレタスワクチンは志賀毒素産生性大腸菌感染による浮腫病から離乳子豚を保護するのに有効である」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文
掲載年:2019年
原題:Shiga toxin 2eB-transgenic lettuce vaccine is effective in protecting weaned piglets from edema disease caused by Shiga toxin-producing Escherichia coli infection.
研究機関:国立国際医療研究センター研究所,出光興産株式会社先進技術研究所,株式会社京都動物検査センター,株式会社栄養・病理学研究所(第七著者・中山,第八著者・塚原)
弊社職員の役割:剖検,ベロ毒素産生大腸菌の定量 (real-time PCR),腸管及び全臓器の病理組織学的検査,結果考察

2019年10月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「志賀毒素2eBトランスジェニックレタスワクチンは志賀毒素産生性大腸菌感染による浮腫病から離乳子豚を保護するのに有効である」について解説いたします。

内容解説:ブタ浮腫病は志賀毒素2e(Stx2e)産生性大腸菌の感染による毒血症に起因し,高い致死率をもたらすことから,養豚経営上本疾病を制御することは重要です。ブタ浮腫病は離乳期にしばしば発症し,その予防もしくは治療として抗菌剤が主に使用されています。しかし,抗菌剤の適正使用の観点及び耐性菌出現などから抗菌剤に変わる予防・治療法が求められています。
以上の様な背景の中,依頼元である出光興産株式会社様がブタ浮腫病に対する代替治療剤としてStx2eのBサブユニットをレタスに発現させるトランスジェニックレタスを開発されました。本研究では,そのワクチンレタスをブタに経口的に摂取させることで,ブタ浮腫病罹患軽減を目指すことを目的に,弊社が開発し保有しているSTEC実験感染系を駆使してその有効性を評価いたしました。
本研究では粉末レタス乾燥重量(DW)1 g当り 0.53 mg のStx2eB を含む2BN株,および1 g DW当り2.3 mgのStx2eBを含む2BH株について,計3回の検討を行っております。その結果,どちらのStx2eBレタスワクチンの経口投与でもSTEC攻撃によるEDの病状を軽減させることができました。これらのことから,我々の開発したSTEC実験感染系を用いることで,今回供試したワクチンレタスの有効性を確認することが出来ました。