株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「ブタ小腸の絨毛高さ及び2糖分解酵素活性の離乳日齢による影響」

「ブタ小腸の絨毛高さ及び2糖分解酵素活性の離乳日齢による影響」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2016年
原題:Influence of weaning age on the villous height and disaccharidase activities in the porcine small intestine.
研究機関:京都府立大学生命環境学部,株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・塚原),豊橋飼料株式会社,塩水港精糖株式会社糖質研究所
弊社職員の役割:研究企画,ブタ剖検,小腸絨毛高さ測定,結果考察,論文執筆

2016年1月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「ブタ小腸の絨毛高さ及び2糖分解酵素活性の離乳日齢による影響」について解説いたします。

内容解説:離乳はブタにとって最大のストレスイベントであり,離乳をどのように乗り切るかは養豚経営にとって重要な問題です。ブタが離乳した後の増体は,小腸の絨毛高さや2糖分解酵素活性と正の相関があることがわかっています。これは,仔ブタ離乳後の小腸構造や機能の維持は,養豚経営に直結する重要ファクターであることを示しています。
最近は3週齢(21〜28日齢)での離乳が一般的ですが,一昔前は14日齢などの早期離乳が推奨されていた時期がありました。14日齢は小腸粘膜が遺伝学的に未発達であり,適切な発達過程を経ないまま離乳させてしまうため,免疫学的に深刻な影響を及ぼすことを以前解説いたしました。本研究では,離乳時期が栄養学的な要素へどのような影響を及ぼすのかを確かめるため,LWD系3元交雑種ブタ小腸8部位における2糖分解酵素活性および絨毛高さについて検討いたしました。
3つの離乳日齢(14,21及び28日齢)を設定し,それぞれ離乳後7日および14日で剖検いたしました。また対照として,ほ乳を継続させたブタを1,7,14,21および28日齢で剖検しております。各ブタの小腸8部位の絨毛高さおよび2糖分解酵素活性(マルターゼ,スクラーゼ,ラクターゼ)を測定いたしました。
14日齢の早期離乳は絨毛および2糖分解酵素活性に深刻な影響を及ぼしており,激しい絨毛萎縮および2糖分解酵素活性の減衰が顕著でした。とくに,14日齢離乳後2週間はマルターゼ活性が亢進しておらず,切り替えた飼料の消化吸収に大きな影響を与えている可能性が考えられます。21日齢よりも28日齢の方が21日齢よりもより離乳による悪影響は軽微でした。
以上より,既報の遺伝学的観点での結果と同様に,栄養学的な観点(絨毛高さおよび2糖分解酵素活性)からも少なくとも21日齢以上での離乳を推奨いたします。