株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「Lactobacillus helveticus MCC1848株の加熱殺菌体給与は慢性社会的敗北ストレスマウスの不安・うつ様症状を改善する」

「Lactobacillus helveticus MCC1848株の加熱殺菌体給与は慢性社会的敗北ストレスマウスの不安・うつ様症状を改善する」

雑誌名:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2019年
原題:Heat-killed Lactobacillus helveticus strain MCC1848 confers resilience to anxiety- or depression-like symptoms caused by subchronic social defeat stress in mice.
研究機関: 森永乳業株式会社,株式会社栄養・病理学研究所(第四著者・川瀬,第七著者・塚原),茨城大学農学部,東京農工大学大学院連合農学研究科
弊社職員の役割:研究企画,動物飼育,行動解析,結果考察

2019年6月にBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載されました「Lactobacillus helveticus MCC1848株の加熱殺菌体給与は慢性社会的敗北ストレスマウスの不安・うつ様症状を改善する」について,弊社が実施いたしました分析項目についてご紹介いたします。

内容解説:「社会的敗北ストレス」をマウスへ負荷し,うつ様症状を呈させるモデルを用いました。マウスへは予めLactobacillus helveticus MCC1848株の加熱殺菌体を給与しておき,うつ様症状の緩和効果を確認いたしました。効果の確認のために,「①社会的交流行動時間」「②巣作り時間」「③ショ糖嗜好性試験」「④尾懸垂無動時間」「⑤強制水泳無動時間」などの行動解析を行いました。「①社会的交流行動時間」とは,初見マウスへの単位時間あたりの近接時間を測定しております。うつ様症状を呈すると近接時間が短くなります。「②巣作り時間」とは,巣作りを開始して完了するまでに要した時間を測定しております。うつ様症状を呈すると巣作りを始めるまでの時間や巣作りを終わらせるまでの時間が長くなります。「③ショ糖嗜好性試験」とは,ショ糖液と飲料水を設置し,ショ糖液の摂取した割合を測定します。うつ様症状を呈するとショ糖液を選択的に摂取しなくなります。「④尾懸垂無動時間」や「⑤強制水泳無動時間」もうつ様症状を呈すると単位時間あたりの無動時間が長くなります。
これらの行動を解析した結果,「①社会的交流行動時間」及び「③ショ糖嗜好性試験」でLactobacillus helveticus MCC1848株の加熱殺菌体給与による改善効果を確認いたしました。本論文では,さらに糞便内細菌叢網羅解析や側坐核のRNA-seqを駆使し,行動改善のメカニズムに迫っています。
弊社では,上記のような「社会的敗北ストレスモデル」を用いて,うつ様症状を緩和する物質の評価試験を受託しております。行動解析は上記の5種類を用意しております。この様な評価試験をお考えの方は是非弊社担当までご相談いただければありがたいです