株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「UPLC-MS/MSを用いた,ヒト腸内で生産される腐敗産物のグルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体の尿中高感度検出」

「UPLC-MS/MSを用いた,ヒト腸内で生産される腐敗産物のグルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体の尿中高感度検出」

雑誌名:Chromatography
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2019年2月
原題:Simultaneous analysis of glucuronyl- and sulpho-conjugates of intestinal putrefactive compounds in human urine by ultra-performance liquid chromatography tandem mass spectrometry.
研究機関: 株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・川瀬,最終著者・塚原),株式会社ヤクルト本社中央研究所
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,分析法開発,結果考察,論文執筆

2019年2月にChromatography誌に掲載されました「UPLC-MS/MSを用いた,ヒト腸内で生産される腐敗産物のグルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体の尿中高感度検出」について解説いたします。

内容解説:最近,腸内細菌と健康の関連についての研究がとくに進んでおります。弊社でも受託しております次世代シーケンサーを用いた菌叢網羅解析がそれらの研究に大きく貢献していることは疑いようがありません。一方で,腸内細菌が生産する代謝物も重要であることが再認識されてきました。弊社では,代謝物解析として糞便中のpH,アンモニア,短鎖脂肪酸,腐敗産物解析,代謝物網羅解析などを受託しており,菌叢網羅解析と合わせて好評を頂いております。
弊社ではすでに,糞便中の腐敗産物(インドール,スカトール,パラクレゾール,フェノール)の,GC-MSを用いた高感度分析系を保有しており,多くの受託分析依頼を頂いております。一方,これらの腐敗産物は大腸から吸収され,腸管及び肝臓でその多くがグルクロン酸抱合体もしくは硫酸抱合体になることが知られています。これらの腐敗産物の代謝物は上記分析系では検出できません。そこで,今回はこれら抱合体化した腐敗産物6種(フェニルグルクロニド,インドキシルグルクロニド,パラクレシルグルクロニド,フェニル硫酸,インドキシル硫酸,パラクレシル硫酸)を高感度で検出できる分析系を開発いたしました。
論文内では,直線性,日内変動,日間変動,希釈妥当性,添加回収試験,凍結融解安定性を実施しており,良好な結果を得ております。なお真度保証範囲は,フェニルグルクロニドで1.56~25.0 µM,インドキシルグルクロニドで1.25~20.0 µM,パラクレシルグルクロニドで0.625~10.0 µM,フェニル硫酸で3.13~50.0 µM,インドキシル硫酸で7.81~250 µM,パラクレシル硫酸で1.56~25.0 µMであり,希釈妥当性は硫酸抱合体3種では2~4倍希釈が,グルクロン酸抱合体3種は4~16倍希釈で適合範囲内でした。
本分析系はすでに臨床検体でもご利用頂いております。本分析系についてご興味を持たれた方は,是非弊社までご相談いただければ幸いです