株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「繁殖母豚および/または産仔への生菌剤給与による母豚繁殖成績,産仔離乳後下痢発症割合および離乳後小腸病理組織学的パラメータの改善」

「繁殖母豚および/または産仔への生菌剤給与による母豚繁殖成績,産仔離乳後下痢発症割合および離乳後小腸病理組織学的パラメータの改善」

雑誌名:Animal Science Journal
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2016年
原題:Dietary administration of probiotics to sows and/or their neonates improves the reproductive performance, incidence of postweaning diarrhea, and histopathological parameters in the intestine of weaned piglets.
研究機関: 東亜薬品工業株式会社,株式会社栄養・病理学研究所(最終著者・塚原)
弊社職員の役割:研究統括,研究企画,臨床観察,剖検,腸内細菌数のPCR検査(ビフィズス菌属,大腸菌,Clostridium perfringens,乳酸菌群,毒素原性大腸菌STa),総IgA濃度,腸管及び全臓器の病理組織学的検査,小腸粘膜の絨毛高さ・筋層厚さ測定,結果考察,論文執筆

2016年12月にAnimal Science Journal誌に掲載されました「繁殖母豚および/または産仔への生菌剤給与による母豚繁殖成績,産仔離乳後下痢発症割合および離乳後小腸病理組織学的パラメータの改善」について解説いたします。

内容解説:繁殖母豚にとって分娩は,肉豚にとって離乳は最大のストレスイベントになります。ここをどう無事に乗り切るかが,その後の成績に大きく影響します。とくに肉豚は,離乳後にエサが母乳から飼料へと変化することから,小腸の機能を大きく変更する必要があります。それに伴って,腸内細菌も大きく変化することから,下痢,とくに大腸菌性下痢症が頻発します。腸内環境を整える目的で給与する生菌剤は,以上のような生産性の悪化を緩和させるのに有用であることが,近年とくに注目されています。本研究では,東亜薬品工業株式会社様が製造・販売する生菌剤(ビオスリー)を用いて以下の研究を行いました。
繁殖母豚28頭を用い,対照群及びビオスリー給与群に群分けしました。母豚へビオスリーを0.2 % (w/w)飼料添加給与することで,分娩時産仔総体重および再発率が有意に改善しました(それぞれ17%および24%の改善)。さらに授乳後期の母豚飼料摂取量が,ビオスリー給与によって高値を示しました。さらにそれらの産仔へビオスリーを0.02 % (w/w)飼料添加給与することで,離乳後下痢割合および育成成績が顕著に改善しました。
ビオスリー給与は,繁殖母豚が最もストレスを受ける分娩時期に給与することで繁殖成績を,肉豚が最もストレスを受ける離乳時期に給与することで離乳後育成成績をそれぞれ改善することがわかりました。
なお本研究では,総IgA濃度はBethyl社のELISAキットを用いて,腸内細菌数測定はreal-time PCRを用いて,病理組織学的検査はHE染色標本の光学顕微鏡観察でそれぞれ行なっております。
今回の研究は,一貫経営農場で実施しております。このように実験農場以外でも試験研究は承っておりますので,実際の臨床現場で試験研究をとお考えの方がおられるようでしたら,是非一度ご相談いただければと思います