株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「鶏コクシジウム実験感染鶏へのワイツマニア・コアグランスSANK70258株給与は,抗コクシジウム剤と同等の改善効果を示す」

「鶏コクシジウム実験感染鶏へのワイツマニア・コアグランスSANK70258株給与は,抗コクシジウム剤と同等の改善効果を示す」

雑誌名:Veterinary Sciences
ジャンル:原著論文
掲載年:2022年
原題:The effect of supplementation with Weizmannia coagulans strain SANK70258 to coccidia-infected broilers is similar to that of a coccidiostat administration
研究機関: 三菱ケミカル株式会社,株式会社京都動物検査センター,株式会社栄養・病理学研究所(第三著者・中村,最終著者・塚原)
弊社職員の役割:試験企画,結果考察

2022年8月に,Veterinary Sciences誌に掲載されました「鶏コクシジウム実験感染鶏へのワイツマニア・コアグランスSANK70258株給与は,抗コクシジウム剤と同等の改善効果を示す」をご紹介いたします。

内容解説:原虫感染症のひとつである鶏コクシジウム症の制御は,養鶏を安定して持続させるのに重要です。現状では,鶏コクシジウム感染症の制御は抗コクシジウム剤の投与が第一選択ですが,抗菌剤の慎重使用が推奨される中,代替物の探索は現在の畜産ではとくに求められている課題です。
プロバイオティクス(生菌剤)は抗菌剤代替物として注目されている素材です。本研究では,生菌剤であるワイツマニア・コアグランスSANK70258株をあらかじめ給与したブロイラーへコクシジウムを経口で感染させて,感染後の増体などの生産成績を,抗コクシジウム剤(ラサロシドNa)投与したブロイラーと比較しました。その結果,ワイツマニア・コアグランスSANK70258株を予め0.03%以上飼料中に添加することで,抗コクシジウム剤と同等の生産成績改善効果があることを確認しました。一方で,抗コクシジウム剤投与鶏では盲腸内容物中の常在大腸菌数が顕著に高値化していましたが,ワイツマニア・コアグランスSANK70258株給与ではその様な現象は認められませんでした。腸管での常在大腸菌数増加は,生産成績に負の影響を及ぼす可能性があるため,抗コクシジウム剤と同等の効果が認められたワイツマニア・コアグランスSANK70258株は,常在腸内細菌叢の維持については抗コクシジウム剤よりも優れている可能性が示唆されました。