株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「フゾバクテリウム・ヌクレアータムはマウスモデルにおけるDSS腸炎からの寛解を妨げる」

「フゾバクテリウム・ヌクレアータムはマウスモデルにおけるDSS腸炎からの寛解を妨げる」

雑誌名:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2021年
原題:Fusobacterium nucleatum impedes remission of colitis in a mouse model.
研究機関:摂南大学農学部,京都府立大学生命環境学部,株式会社栄養・病理学研究所(第三著者・塚原)
弊社職員の役割:試験企画,結果考察

2021年5月にBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載されました「フゾバクテリウム・ヌクレアータムはマウスモデルにおけるDSS腸炎からの寛解を妨げる」について解説いたします。

内容解説:腸管疾患との関連性が報告されているフゾバクテリウム・ヌクレアータムについて,デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎モデルを用いて,大腸炎寛解遅延について検討を行いました。
メスマウスを2群に分け,一方にはDSSを投与しDSS腸炎を誘導する群,他方はDSS投与に加えさらに1日1回フゾバクテリウム・ヌクレアータム(F. nucleatum)を1.0 × 10^10 CFU/mouseを投与する群としました。
実験1では,各群のDSS投与期とDSS投与終了後期(寛解期)におけるDisease activity indices (DAI)差を評価しました。実験2では,実験1と同様の処置後,DSS投与終了後3日に全頭剖検を行い,結腸粘膜をサンプリングしました。
その結果,実験1ではF. nucleatumを継続して投与することで,DSS投与終了後と2回目のDSS投与期におけるDAIスコアが顕著に高値化しました。実験2では結腸粘膜でのバクテロイデス属菌が有意に高値化し,ラキノスピラ科菌が有意に低値を示していました。以上の結果から,F. nucleatumの存在は大腸炎からの寛解を妨げることが示唆されました。