株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「高負荷練習を長期間実施する女子持久走選手の腸内細菌叢が特徴的であった」

「高負荷練習を長期間実施する女子持久走選手の腸内細菌叢が特徴的であった」

雑誌名:Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2021年
原題:Intensive, prolonged exercise seemingly causes gut dysbiosis in female endurance runners.
研究機関: 摂南大学農学部,京都府立大学生命環境学部,日本体育大学総合スポーツ科学研究センター,株式会社栄養・病理学研究所(第四著者・川瀬,第六著者・塚原),京都府立医科大学消化器内科学教室,京都府立医科大学生体免疫栄養学講座
弊社職員の役割:糞便中有機酸(コハク酸,乳酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,イソ酪酸,ノルマル酪酸,イソ吉草酸,ノルマル吉草酸)濃度測定,糞便中腐敗産物濃度測定,結果考察

2021年5月にJournal of Clinical Biochemistry and Nutrition誌に掲載されました「高負荷練習を長期間実施する女子持久走選手の腸内細菌叢が特徴的であった」について解説いたします。

内容解説:高負荷の練習を長期間継続させることで,下痢など消化器機能が不調になりやすいことが経験的に知られていました。本研究では,腸内細菌叢と運動負荷との関係について検討を行うため,15名の女子長距離走選手と14名の健康な同世代の一般女性との腸内細菌叢を次世代シーケンサーを用いて比較しました。さらに,腸内細菌叢の代謝産物である有機酸濃度及び腐敗産物濃度測定を行いました。
その結果,長距離走選手の腸内細菌叢は,詳細は記載いたしませんが,一般女性と異なる点がありました。最も特徴的であったのは腸内細菌叢の代謝産物のひとつであるコハク酸が有意に高値を示したことです。通常の腸内細菌叢でもコハク酸は腸内細菌によって生産されますが,他の腸内細菌叢によって消費されるため,見かけ上検出されることはあまりありません。今回,持久走選手の糞便にコハク酸が特徴的に確認できたことは,腸内細菌叢全体として一般女性と異なることが考えられます。
以上の様に,腸内細菌叢網羅解析もそうですが,腸内細菌叢代謝物の解析も腸内細菌叢の変化を知る上で重要です。弊社はとくに「腸内細菌叢代謝産物」分析に力を入れており,日々多くの方から分析を依頼いただいております。もしご興味がある方は是非弊社までご相談いただければ幸いです