株式会社 栄養・病理学研究所

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トップトピックス「ブリSeriola quinqueradiataにおけるマイタケGrifola frondosa粉末経口給与後の頭腎由来マクロファージ活性および生残率に及ぼす影響」

「ブリSeriola quinqueradiataにおけるマイタケGrifola frondosa粉末経口給与後の頭腎由来マクロファージ活性および生残率に及ぼす影響」

雑誌名:日本きのこ学会誌
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2018年
原題:同上
研究機関: 田辺製薬株式会社,株式会社エス・ディ・ロジ,福山大学生命工学部,株式会社京都動物検査センター,株式会社栄養・病理学研究所(第三著者・塚原)
弊社職員の役割:ブリ頭腎採材,頭腎貪食活性測定

2018年6月に日本きのこ学会誌に掲載されました「ブリSeriola quinqueradiataにおけるマイタケGrifola frondosa粉末経口給与後の頭腎由来マクロファージ活性および生残率に及ぼす影響」について解説いたします。

内容解説:ブリ類は水産養殖業の基幹であり,界面養殖生産量が最も多いのですが,大量に飼育するとどうしても魚病が心配になります。1997年から魚類を対象にしたワクチンが市販され,疾病対策については大きな進歩が見られる様になりましたが,未だワクチンが市販されていない疾病も多く,それらへの対策は重要な未解決課題となっています。
魚類の免疫を活性化させる資材は,非特異的に疾病予防効果を示すため,とくに市販ワクチンが対応できていない疾病には有効な手段のひとつです。乳酸菌を含め,魚類への免疫活性資材の応用はこれまで長い間検討されてきました。本研究では,ほ乳動物においては既に免疫活性効果を有することが報告されているマイタケ粉末の,ブリに対する実験室内での免疫活性化効果,及び臨床現場での応用について検討を行いました。
愛媛県の養魚場で,隣り合う生簀で飼養されているブリを用いました。マイタケを継続して飼料添加給与する群(平均909 g,18,586尾),無給与対照群(平均903 g,18,722尾)の2群を設定し,生残率に差が出るかを検討いたしました。その結果,311日間の飼育期間中に無給与対照群では1,200尾のブリが死亡しましたが,マイタケを給与することで931尾に抑えられました(p<0.05)。死亡改善メカニズムを検証するため,実験室レベルでブリを飼育し,マクロファージのラテックスビーズ貪食能を確認したところ,顕著な貪食能の亢進が認められました。
現在でも,株式会社京都動物検査センター様の飼育施設を借りることで,養殖魚の免疫活性化試験,魚病感染予防試験などを承っております。養殖魚(ブリ,ヒラメ,タイ,ニジマスなど)を対象にした試験研究をお考えの場合は,是非弊社に一度ご相談いただければ幸いです。