雑誌名：Journal of Comparative Pathology
ジャンル：症例報告（査読あり）
掲載年：2020年
原題：Eosinophilic Leukaemia and Systemic Mycobacterium marinum Infection in an African Pygmy Hedgehog (Atelerix albiventris)
研究機関：株式会社栄養・病理学研究所（筆頭著者・中村，最終著者・塚原），まさの森・動物病院，摂南大学薬学部
弊社職員の役割：病理標本作製，病理組織学的検査，結果考察，論文執筆

内容解説：2歳，オスのヨツユビハリネズミが元気消失と食欲不振で動物病院を受診し，画像検査で脾腫と肺炎が認められました。末梢血塗抹標本では，大型異型好酸球が顕著に増加していました。抗菌剤や抗炎症薬による治療を続けるも改善することなく死亡し，原因解明のため病理解剖を実施しました。剖検では左後肢が腫大し趾先端に痂疲形成，左鼠径リンパ節腫大，肺水腫，脾腫がみられ，肺，脾臓および肝臓に白色結節がみられました。病理組織学的には肺，脾臓，肝臓，腎臓，リンパ節，副腎髄質に多数の好酸球浸潤がみられ，肺，脾臓，肝臓，左鼠径部リンパ節および左後肢には肉芽腫性病変が確認されました。病変部のマクロファージ内には抗酸菌染色で赤染される抗酸菌が多数認められ，16S rRNA遺伝子を標的としたbroad-range PCRにより，Mycobacterium marinumと同定されました。M. marinumが哺乳類で全身感染を引き起こす症例は非常に稀で，哺乳類における本菌による全身感染の2例目の報告となりました。