「一般的な一貫経営農家における繁殖母豚の生産性と腸内細菌叢との関係」
雑誌名:Microorganisms
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2020年
原題:Comparison of sow productivity and gut microbiotas of sows in commercial farms.
研究機関:京都府立大学生命環境学部,株式会社栄養・病理学研究所(第二著者・塚原),日本養豚開業獣医師協会,農研機構動物衛生研究所,摂南大学農学部
弊社職員の役割:研究企画, 結果考察,論文執筆
内容解説:ヒトでは腸内細菌叢と様々な慢性疾患とが関係していることがわかってきました。養豚においても,肉豚や繁殖母豚の個体腸内細菌叢が生産成績と関係することが,最近報告されるようになりました。一方で,養豚では通常,個体ごとに管理しておらず,部屋,建物,農場単位で管理を行われているため,上記の結果は実際養豚経営されている方々には使いづらい情報です。そこで,本研究では,「農場ごとに固有の腸内細菌叢がある」ことと,「農場固有の腸内細菌叢は生産成績と関係する」ことを確かめました。
日本国内の一般的な18の養豚農家から繁殖母豚の糞便を10頭ずつ集め,次世代シーケンサーを用いた菌叢網羅解析を実施いたしました。その結果,腸内細菌叢は農場内での個体差よりも農場ごとの差が顕著であり,農場ごとに腸内細菌叢は固有であることが示唆されました。また,農場の年間母豚一頭当たりの離乳頭数と農場固有の腸内細菌叢は関係していることが判りました。この結果は,生産成績が良くない農場でも,腸内細菌叢を改善すれば生産成績が改善できる可能性を示唆しております。本成果は,来る2020年12月12日開催の第10回家畜感染症学会学術集会・15周年記念大会でお話しさせて頂く予定になっております。web開催となっておりますので,もし興味をお持ちの方は是非ご視聴頂ければ幸いです。
今回の報告は,本研究テーマの第一弾であり,現在も検討を続けております。今後もまとまり次第,公表していく予定にしておりますのでご期待ください。