株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「社会的敗北ストレスマウスモデルを用いたストレス誘導による行動及び遺伝子変動に対する加熱不活化ラクトバチルスガセリCP2305株の経口給与の効果」

「社会的敗北ストレスマウスモデルを用いたストレス誘導による行動及び遺伝子変動に対する加熱不活化ラクトバチルスガセリCP2305株の経口給与の効果」

雑誌名:Biomedical Research
ジャンル:原著論文
掲載年:2020年
原題:Effects of dietary intake of heat-inactivated Lactobacillus gasseri CP2305 on stress-induced behavioral and molecular changes in a subchronic and mild social defeat stress mouse model.
研究機関: 茨城大学農学部,株式会社栄養・病理学研究所(第二著者・川瀬,最終著者・塚原)
弊社職員の役割:動物飼育,行動解析,海馬ストレス関連mRNA発現解析,脳内神経伝達物質濃度解析,コルチコステロン濃度測定(ELISA),結果考察

2020年4月にBiomedical Research誌に掲載されました「社会的敗北ストレスマウスモデルを用いたストレス誘導による行動及び遺伝子変動に対する加熱不活化ラクトバチルスガセリCP2305株の経口給与の効果」について解説いたします。

内容解説:2019年7月に紹介いたしましたLactobacillus helveticus MCC1848株に続き,社会的敗北ストレスモデルを用いた加熱不活化乳酸菌株給与によるストレス緩和効果を確認した試験となります。弊社にて実施している測定項目は前回とほぼ変わりませんが,脳内の神経伝達物質の濃度測定を新たに追加しております。本検討は,健常対照群,ストレス負荷対照群,ストレス負荷L. gasseri CP2305株飼料添加給与群の計3群で実施しており,各群8匹を設定しております。
結果といたしましては,社会的敗北ストレスを負荷することによって,飼料摂取が顕著に抑制されましたが,L. gasseri CP2305株を飼料中に添加して継続給与することで,それらの改善が認められました。これはストレス負荷による食欲減退を緩和する効果があることを示唆しております。また,CP2305株給与によって,海馬内の脳由来神経栄養因子(bdnf),神経成長因子(ngf),ニューロトロフィン3(nt-3)のmRNA発現が亢進しておりました。これらのことから,L. gasseri CP2305株の持続的な経口給与は,心理社会的ストレス由来の不調を予防できる可能性が示唆される結果でした。
なお,神経伝達物質濃度測定につきましては,後日別の機会に詳述させて頂きます。今しばらくお待ちいただければ幸いです。