株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス弊社で実施している胆汁酸濃度一斉測定法

弊社で実施している胆汁酸濃度一斉測定法

雑誌名:Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
ジャンル:原著論文
掲載年:2022年
原題:Fermented rice bran supplementation ameliorates obesity via gut microbiota and metabolism modification in female mice
研究機関: 鈴鹿医療科学大学,福井大学,株式会社マックスプロバイオ,株式会社栄養・病理学研究所(第三著者・川瀬,第四著者・塚原)
弊社職員の役割:菌叢網羅解析,総菌数測定,有機酸濃度測定,メタボロミクス(GC-MS),胆汁酸成分解析

栄養・病理学研究所で実施しております,胆汁酸濃度一斉測定法について,既報を元にご紹介申し上げます。

【検体の前処理】
① 標準物質としてCholic acid(CA),α-muricholic acid(αMCA),β-muricholic acid(βMCA),Chenodeoxycholic acid(CDCA),Deoxycholic acid(DCA),Hyodeoxycholic acid(HDCA),Ursodeoxycholic acid(UDCA),Lithochollic acid(LCA),Taurocholic acid(TCA),Tauro-α-muricholic acid(TαMCA),Taurochenodeoxycholic acid(TCDCA),Taurodeoxycholic acid(TDCA),Taurohyodeoxycholic acid(THDCA),Taurolithocholic acid(TLCA),Glycocholic acid(GCA),Glycochenodeoxycholic acid(GCDCA),Glycodeoxycholic acid(GDCA),Glycohyodeoxycholic acid(GHDCA),Glycoursodeoxycholic acid(GUDCA)及びGlycolithocholic acid(GLCA)を用い,各物質の濃度が5 mmol/Lとなるように超純水で濃度調整します。
② 内部標準物質として,2,3-Nordeoxycholic acid(NDCA)を用い,濃度が5 mmol/Lとなるようにメタノールで濃度を調整します。
③ 胆汁酸分析用試料に内部標準物質15 µL,エタノール1.0 mLを加え,2,500 rpmで10分間ボルテックス後,30 min,60 ℃の条件でインキュベートします。その後さらに,100 ℃の熱湯で3 min加熱します。室温で放冷しボルテックス後,5,000 rpm ×10 min,4 ℃の条件で遠心分離し,上清を新しい回収用チューブに移します。残渣にエタノール1.0 mLを加えボルテックス後,10,000 rpm ×1 min,4 ℃の条件で遠心分離し,上清を先述の回収用チューブに移します。この操作をもう一度繰り返し,回収用チューブをエバポレーターにかけて減圧乾固させます。完全に乾燥したことを確認し,メタノール500 µLを加え,ボルテックスを行います。予めコンディショニングしておいたWaters製のOASIS HLB固相抽出カートリッジに10 mM酢酸アンモニウム水溶液を1 mL加え,ただちにサンプル100 µLをロードし十分にピペッティングを行います。液が全て落下したことを確認し,洗浄用に10 mM酢酸アンモニウム水溶液を1 mLを加え,30 min~1h静置します。液が全て落下したことを確認した後,カートリッジの下に新しい回収用チューブをセットし,メタノール1 mLを加えて胆汁酸を分析用バイアルに移します。

【UPLC-MS/MSを用いた定量】
① 分析には弊社所有のUPLC-MS/MS (ACQUITY UPLC;Waters)を用いて行っております。装着するカラムはAcquity BEH C18 1.7 μm×100×2.1 mm (Waters)です。分析条件は以下となります。A液:20 %アセトニトリル(10 mM酢酸アンモニウム添加)。B液:80 %アセトニトリル(10 mM酢酸アンモニウム添加)。流速は0.4 mL/minとし,グラジエント条件は0-5 min (A液95 %),5-15 min (A液95-85 %),15-20 min (A液85-75 %) ,20-22 min (A液75-25 %),22-26 min (A液25 %)です。インジェクション量は5 μL,カラム温度は40℃,サンプル温度は4℃です。
② 質量分析計での検出:弊社所有のACQUITY TQD MS system (Waters)を用いて行っております。条件は以下となります。イオン化はESI negative,キャピラリー電圧は3.0 kV,脱溶媒ガスは800 L/hr,脱溶媒温度は400 ℃,イオン源ヒーターは150 ℃,コーンガス流量は50 L/hrです。MRM条件など詳細は下記論文をご参照下さい。

以上となっております。これらの分析法については,以下のリンクに示す論文に記載されておりますので,併せてご確認いただければ幸いです。