株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

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トップトピックス「GC-MSを用いたヒト唾液中短鎖脂肪酸の高感度一斉分析法の検討」

「GC-MSを用いたヒト唾液中短鎖脂肪酸の高感度一斉分析法の検討」

雑誌名:Chromatography
ジャンル:原著論文(査読あり)
掲載年:2020年
原題:Simultaneous determination of 7 short-chain fatty acids in human saliva by high-sensitivity gas chromatography-mass spectrometry.
研究機関: 株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・川瀬,最終著者・塚原),岡山大学大学院医歯薬学総合研究科,シスメックス株式会社,日本大学歯学部
弊社職員の役割:研究企画,分析法検討,結果考察,論文執筆

2020年7月にChromatography誌に掲載されました「GC-MSを用いたヒト唾液中短鎖脂肪酸の高感度一斉分析法の検討」について解説いたします。

内容解説:本稿では,以前から分析受託しております「GC-MSを用いた微量短鎖脂肪酸分析系」を改良し,さらに分析感度を高めました。またこれまでの3種類(酢酸,プロピオン酸,n酪酸)から,7種類(前述3種+イソ酪酸,イソ吉草酸,n吉草酸,カプロン酸)が同時に分析できる様になりました。
また,本稿では分析法のバリデーションも実施しており,各短鎖脂肪酸について検量線の直線性を確認し,日内再現性,日間再現性を評価しております。また,添加回収試験を行い,それらの結果から各短鎖脂肪酸の有効な分析範囲を決定しております。その結果,7種の短鎖脂肪酸の検量線の決定係数r2は0.995以上であることから検量線の直線性に問題はなく,検量線の日内再現性および日間再現性はFDA基準(±15%以内)の許容範囲内でした。また,添加回収率の許容範囲を70〜110%として添加回収試験も実施いたしました。以上の条件を総合して算出した本分析の真度保証範囲は,酢酸が6.25~400 μM,プロピオン酸が0.781~100 μM,n酪酸が0.391~100 μM,イソ酪酸が0.781~50.0 μM,n吉草酸が0.781~50.0 μM,イソ吉草酸が0.781~50.0 μM,カプロン酸が1.56~50.0 μMでした。本検討では凍結融解安定性も確認しており,少なくとも1回の凍結融解では短鎖脂肪酸濃度に影響はありませんでした。
以上より,今回改良した分析系は,上記の測定範囲内において分析は妥当であることが証明されました。本分析をご利用したいとお考えのユーザー様は是非弊社担当までご連絡いただければ幸いです