「家畜の消化管で生菌剤はどの様に働くのか?−とくに腸内細菌との相互作用とバチルス属生菌剤の働きについて−」
雑誌名:動薬研究
ジャンル:依頼総説
掲載年:2019年
原題:家畜の消化管で生菌剤はどの様に働くのか?−とくに腸内細菌との相互作用とバチルス属生菌剤の働きについて−
研究機関:株式会社栄養・病理学研究所(単独著者・塚原)
弊社職員の役割:総説執筆
内容解説:畜産業界では,2018年の硫酸コリスチンの飼料添加物取り消しを受け,代替物質の探索が急務となってきております。生菌剤は,日本人にとってなじみの深い製品であり,その有効性はご自身でも「納豆」や「ヨーグルト」を通して体感されていると思います。本稿では納豆菌でもおなじみの「バチルス属生菌剤」の働きについて詳述しております。
バチルス属菌の特徴といたしましては,まず第一に芽胞を形成できるため,少々劣悪な環境下でも効能の劣化をそれほど気にしなくても良い点です。とくに,暑熱ストレスがかかる時期に生菌剤給与を考えられている場合,貯蔵しているエサも太陽で熱せられますので,予め生菌剤を飼料中に添加していた場合,死んでしまわないかが心配です。ところが,バチルス属菌は芽胞と呼ばれる外界の影響を受けにくい種のような状態になることが出来ます。
バチルス属菌は乳酸菌と同様に菌体に免疫活性効果がありますが,なんといっても最大の特徴は抗菌活性や抗真菌活性を持つ物質を腸管内で生産することが可能な株が存在するという点です。また,様々な消化酵素を分泌する株もあり,家畜の消化吸収を補助することが出来るともいわれています。
ここで気をつけて頂かないといけないのは,生菌剤全般に言えることですが,生菌剤の効能は菌株によって異なるという点です。例えば同一種(同じバチルスサブチルス種)の生菌剤が現在数多く市販されていますが,それらはそれぞれ同じ効能を持つとは限らないことを是非憶えておいて頂ければと思います。
本稿では,生菌剤と腸内細菌との関係や,消化管の機能についても解説をしておりますので,是非下記URLからご一読頂ければ幸いです。