株式会社 栄養・病理学研究所

Institute of Nutrion & Pathology Inc.

株式会社 栄養・病理学研究所

トップトピックス「フェレットの腹腔内に発生した血管肉腫の1例」

「フェレットの腹腔内に発生した血管肉腫の1例」

雑誌名:Journal of Toxicologic Pathology
ジャンル:症例報告
掲載年:2019年
原題:Spontaneous abdominal hemangiosarcoma in a ferret.
研究機関: 株式会社栄養・病理学研究所(筆頭著者・中村,最終著者・塚原)
弊社職員の役割:研究企画,剖検,病理組織学的検査,論文執筆

2019年10月にJournal of Toxicologic Pathology会誌に掲載されました「フェレットの腹腔内に発生した血管肉腫の1例」について解説いたします。

内容解説:元気消失,食欲低下を示して4日後に死亡したフェレットを病理解剖したところ,大量の血様腹水とともに,3.5×2.0×2.2cm大の暗赤色腫瘤が膵臓右葉と十二指腸の間の領域に形成されていました。病理組織学的に,腫瘤は大小様々な血管腔を形成する紡錘形細胞によって構成されており,不規則に吻合しながら増殖していました。また,腫瘍細胞は周囲の腸間膜や膵臓の小葉間結合組織に浸潤増殖していました。免疫染色で,腫瘍細胞は血管内皮細胞のマーカーであるCD31およびfactor VIII-related antigenに陽性を示しました。以上のことから,フェレットの腹腔内に発生した血管肉腫と診断しました。フェレットでは皮膚,皮下,肝臓,脾臓などに血管肉腫がしばしば観察されますが,本症例は腹腔内の肝臓や脾臓以外の領域に発生した稀な症例となりました。
上記のヘマトキシリン・エオジン染色標本及び免疫染色標本は下記論文内にて閲覧できますので,標本の出来映え含めご高覧頂ければ有り難いです。